IoTで水害を防ぐ!ELTRESを活用したアイ・オー・データ機器「水位監視用電池式IoT通信システム(UD-NS2)」

IoT活用が期待される一分野に、遠隔地の安全監視があります。ELTRESを活用したアイ・オー・データ機器(以下、アイ・オー・データ)の「水位監視用電池式IoT通信システム(UD-NS2)」は、富山県砺波市のため池監視システムに採用されました。UD-NS2の電池内蔵式であるメリットとELTRESの長距離安定通信・低消費電力性が、電源の取れない遠隔地で日照条件に左右されない監視を可能としています。

UD-NS2とELTRES、今後のIoT展開について、アイ・オー・データの営業本部市場開拓部 宮下卓久さん、事業戦略本部企画開発部 岡優樹さんにお話を伺いました。


「水位監視用電池式IoT通信システム(UD-NS2)」は商用電源不要で長期使用ができるIoT通信システム

「水位監視用電池式IoT通信システム(UD-NS2)」開発の経緯は?

宮下:UD-NS2(https://www.iodata.jp/product/tsushin/modem/ud-ns2-nz2/index.htm)は、アイ・オー・データ単独の発想ではありません。Maxell(マクセル)さんとの事業連携の中から生まれたシステムです。近年は豪雨による堤防決壊や河川氾濫のニュースが多いことから「IoT端末で水位の上昇状況が把握できれば、大事故を防げるのではないか」という社会課題に対するソリューションに着目していたところ、マクセルさんが彼らの強みである「電池」でセンサー・通信と連携できるプロダクトを作ろうとしていたというタイミングも重なり、アイ・オー・データがアンテナを含めた通信部分を担当し、両社の強みを活かしたプロダクト開発をスタートしました。

岡:UD-NS2の仕組みはアナログ式センサーで水位を計測し、アイ・オー・データの通信モジュールで水位情報を送信するというもので、その電力はマクセルさんの電池からの供給となります。


UD-NS2の5つの特徴

1.天候の影響なく約5年間の継続利用が可能

競合として太陽電池を使う製品があるのですが、それでは積雪や曇天などの日照条件で制約を受けてしまいます。しかし、UD-NS2は、マクセルさんの高性能かつ大容量の電池を搭載し、水位センサーやELTRES通信モジュールを必要なときにしか動作させないよう節電の工夫をしています。(宮下)

2.高温や低温での動作が可能

UD-NS2は60℃の高温からマイナス20℃の低温まで動作できるようになっています。これはマクセルさんの電池の特徴が大きく寄与しています。(宮下)

3.避雷器搭載

ため池のような周りに何もない場所では、落雷の危険性が高まります。それに対し、UD-NS2は避雷器を搭載することで、落雷の危険から製品を保護できる作りにしてあります。(宮下)

4.設置が手軽なコンパクトボディー

ケース自体は堅牢な作りですが、276×175×75mmと競合製品と比べかなり小型になっています。これによって設置工事が容易に行えることもメリットの一つです。(宮下)

5.通信アンテナ内蔵

競合製品が機器の外側の箱である筐体(きょうたい)にアンテナを着けているのに対し、UD-NS2はアンテナを内蔵することができました。これにより、強風で何かが飛ばされてきた場合などにも破損リスクを抑えることができます。(宮下)


ELTRESを採用した理由、今後への期待

UD-NS2の通信技術としてELTRESを採用した理由は?

宮下:もともとアイ・オー・データは国内で先行していたLoRaに注目していました。しかし、「本当に商用通信として使い物になるのか?」という不安もありました。そんな中、ソニーネットワークコミュニケーションズさんがELTRESを展開されると伺いました。「ソニーネットワークコミュニケーションズさんなら日本の地理や地形を考慮して展開するだろう」という期待も込めて採用することにしました。

岡:海外ではLoRaやSigfoxが普及していたのですが、安価かつ完成度が高い対応端末が出そろっていたことからLPWAへの参入に躊躇していたのですが、そこにソニーネットワークコミュニケーションズさんからELTRESについてお声がけいただいたのが、大きなきっかけだったと思います。岡:海外ではLoRaやSigfoxが普及していたのですが、安価かつ完成度が高い対応端末が出そろっていたことからLPWAへの参入に躊躇していたのですが、そこにソニーネットワークコミュニケーションズさんからELTRESについてお声がけいただいたのが、大きなきっかけだったと思います。

実際に対応端末を作ってELTRESに抱いた印象は?

宮下:UD-NS2が採用された砺波市のため池監視システムについてなのですが、最初に設置したタイミングでは正直なところあまり電波状況がよくなかったんです。でも、そこから通信局が増えるにつれて、すぐに安定した通信が行えるようになるのが実感できました。その経験からも、アイ・オー・データとしては、ソニーネットワークコミュニケーションズさんがどれだけ基地局を建てられるかがキーだと考えており、増設に期待しています。

岡:アイ・オー・データは現在もう一つのプロダクトを開発中です。今回のUD-NS2に取り組んだことでELTRESのメリットやデメリットがだいぶ見えてきたので、この経験を次のプロダクトに活用していきたいと考えています。

アイ・オー・データのIoTデバイス開発、今後の展望は?

宮下:これは私個人の考えではありますが、いい意味で「IoTは特別なものではない」と考えています。当社は従来“PC周辺機器”と呼ばれていたハードディスクや液晶ディスプレーなどを作ってきました。そのため、あまりIoTのイメージが強い会社ではないかもしれませんが、お客様から見えているハードウエアの形は10年前と変わっていなくても、いつの間にかIoT化している製品は少なくありません。
たとえば、ハードディスクでいうと、当社が販売しているファイルサーバーインターネットにつながっているNAS(Network Attached Storage)は、すでにインターネットにつながり、状態管理サービスを提供しています。
ほかにも以前はCDドライブでCDをリッピングしてPCに保存していましたが、今や同じCDドライブでもWi-Fiを搭載してスマホにダイレクトに取り込めるような商品を販売しています。また、昔は自宅でレコーダーを操作してテレビ番組の録画をしていましたが、今は外出時でもテレビ番組を録画したり視聴したりできますが、当社でもこのようなレコーダーを販売しています。

“より便利に使えるデバイス”を世の中に供給していくことで、いつのまにかIoTが普及していた……となるのではないかと考えています。

(アイ・オー・データ機器(https://www.iodata.jp/)営業本部市場開拓部 宮下卓久さん、事業戦略本部企画開発部 岡優樹さん)

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