【畜産業×IoT】放牧牛監視にELTRESが選ばれた理由とは

位置情報を確認できるIoTネットワークサービスはあらゆるシーンで活用されています。

今回はソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の「ELTRES™ IoTネットワークサービス」をベースに、YL17株式会社が企画・リリースした放牧牛監視サービス「カウカウココイル™」についてご紹介いたします。

サービスの概要・リリースまでの経緯・ユーザーの反応・今後の課題などについて、YL17株式会社の志賀社長にお話を伺いました。

※写真撮影時のみマスクを外しております。


放牧牛監視「カウカウココイル™」とは

——まず、YL17株式会社の概要についてお聞かせください。

志賀様

弊社は、島根県隠岐郡知夫村に所在する、農業・林業・水産業・畜産業に関する製品の製造や販売・サービス・食品販売・飲食店経営・プロデュースなどを行っている会社です。

その一環として、隠岐諸島における放牧牛の位置情報を確認できるアプリサービス、「カウカウココイル™」をリリースいたしました(画像1)。

画像1:「カウカウココイル」

——「カウカウココイル™」は、どの様な背景でリリースされたのでしょうか?

志賀様

隠岐諸島は、知夫里島(知夫村)・中ノ島(海士町)・西ノ島(西ノ島町)・島後(隠岐の島町)から構成される諸島で古くから放牧での畜産が盛んな地域です。

現在、隠岐諸島4島合計で約2,400頭の牛が放牧されていますが、牛は昼夜島内の自然豊かな放牧エリアを自由に動き回る状況で、牛飼いさん達は、自分が保有している牛を見つけるのが難しく毎日の健康状態や発情、事故や行方不明などが早い段階で確認できないという大きな課題がありました。

例えば、牛が発情しているタイミングで種付けを行わなくてはいけません。

もし牛が見つからずにその機会を逃すと、次の発情まで20日間待たなくてはいけなくなり、それが重なると生産効率が低下してしまいます。そうなると畜産農家にとって大きな機会損失になり、牛飼いとしての稼業が成立しなくなります。

「発情、または健康状態のチェックを行いたい際に自分の牛が見つからない。」という牛飼いさん達の課題を解決するべく発案したサービスが、牛の後頭部に端末を装着してスマホアプリで簡単に牛の位置情報を取得できる「カウカウココイル™」なのです。


「ELTRES™ IoTネットワークサービス」が採用された理由について

——「カウカウココイル™」のベースとして、弊社の「ELTRES™ IoTネットワークサービス」が採用された理由をお聞かせください。

志賀様

まずは「端末のサイズが小さく軽い」ことが一番の決め手です。

他社の同じような製品の場合、牛に装着することを考えると、首からぶら下げるくらいのサイズであることがほとんどですが、ELTRES™の場合、装着されていることに気が付かないくらい小さく軽いため、牛の負担になりません(画像2,3,4)。

画像2:端末装着イメージ
画像3:放牧の様子
画像4:放牧の様子

また、電池寿命が長い事も採用のポイントとなりました。

現在は1日3回の発報で牛の位置情報を牛飼いさん達へ提供していますが、そのペースで使用しても電池が約5ヶ月も持続するため、牛飼いさん達による端末の電池交換の手間も軽減できます。


リリースの経緯・利用者の反応・今後の課題とは

——「カウカウココイル™」をリリースするまでにどのような経緯を辿りましたか?またリリース後の牛飼いさん達の反応はいかがでしたか?/p><

志賀様

まずは、島の牛に端末を取付け、島内にELTRES™の受信機を設置し、実証実験を行いました。

その際、実験に協力して頂いた牛飼いさん達からは、牛の位置情報をしっかりと取得できたことが評価されました。

特に島の面積13.7km2の50%を利用した広い放牧エリアにおいて、牛の位置や行動範囲の把握により作業効率の向上と牛を探す無駄な時間を軽減できたとの喜びの声や、台風などの自然災害時に放牧エリアへ行けない状況においても、位置情報が届き安否が確認できた事をお褒めいただきました。

また、そういった現場の声を受けて役場と知夫村和牛改良組合が一緒に動いて頂き、島根県独自の「産地創生事業費補助金」の対象となり、諸島全体で協力体制を整えてくれた事も大変有り難い事でした。

リリース後の牛飼いさん達の反応はというと、なんと言っても「見つからない牛を探しに行く手間が軽減され、生産性と作業効率が格段に向上した」というお声が一番でした。

先にも述べた通り、発情した牛の姿が見当たらないと、種付け時期が遅れ牛の繁殖農家にとって大きな機会損失になります。

また、日々の健康チェックが行えなかったことで、牛が病気の際に治療が遅れ、最悪の場合死に至り、大きな損害となることも考えられます。

加えて、兼業で牛飼いをされている方も少なくないため、牛を探すために時間を大幅に割いてしまうと、本業にも影響を及ぼしてしまいます。

「カウカウココイル™」で牛の位置情報を確認できれば、それらの全てを解決できるベースとなり、すなわちそれが「生産性と作業効率の向上」ということになります。

また近年では、牛飼いになりたいという若い方が隠岐諸島にIターンで増えており、その方々が経験を補える便利なツールとしても好評を頂いております。

今後の課題として、導入を検討されている各島へ受信装置を設置し、受信エリアを広げる必要があります。

——それでは最後に、今後の展開と課題をお聞かせください。

志賀様

今後は、隠岐諸島4島のみならず、放牧が盛んな熊本の阿蘇や、鹿児島の奄美などでもサービスを展開したいと考えています。

併せて、日本の家畜業界で話題となっているアニマルウェルフェアや山林放置による荒廃、耕作放棄地などの問題を放牧で対応するために必要なアイテムになると思います。

また今後の展開として「カウカウココイル™」のベースであるELTRES™ IoTネットワークサービスの位置情報確認機能を活用し、お年寄りや子供の見守り、観光・漁業などに対応したサービスも構想中です。

これから2022年の夏から秋にかけて、更に300頭の牛に端末を装着する予定をしており、先ずは実績を積み精度の高い位置情報とアプリの使い易さを充実させる事で、様々な分野でお客様に喜んで頂けるようなサービスを構築し、離島の人口600人の知夫里島から全国へサービスを展開したいと考えております。

(中央:YL17株式会社 志賀社長、右:SNC 鈴木 左:SNC 宍戸)

最後に

ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。

【活用例】
・物流:移動車輛の監視
・環境モニタリング:溜池の水位監視
・インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
・農業・畜産:放牧牛のトラッキング
・人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
・スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
・IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等

「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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