伝統とテクノロジーの融合で、農業の未来を拓く

ELTRESは、センサーを用いた農作業の効率化・省人化を目指しています。
熊本県菊池市で自然栽培から農業に取り組む實取様に、ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーを用いたスマート農業取り組みについてお話しを伺いました。 湛水センサーとは、水田の水位を監視できるセンサーです。

【画像1】湛水センサーを活用している田んぼと實取義洋さん

経験だけではわからない、水管理の見える化が美味しいお米を育む

私は熊本県菊池市で米農家を営んでいます。
菊池市は阿蘇山の麓から流れ出ている菊池川の「清らかな水」を用いた農業が盛んで、全国有数の米所です。
菊池川流域のストーリー「米作り、二千年にわたる大地の記憶」が日本遺産に認定されているとおり、私も地域で親しまれている伝統的な自然栽培で米作りをしています。
私は市内に複数の田んぼがあります。場所によって田んぼの性質が異なり水の抜け漏れを防ぐため毎日の見回りは欠かせない作業となっています。加えて害虫(ジャンボタニシ)の被害を防ぐため数センチ単位で浅水にしたり、水管理に課題を感じていました。
米作りを続ける中で水管理の経験値は溜まりますが、経験をすることでわかることもあれば経験をしていても失敗しやすい部分もあって、田んぼや水の状況を可視化したいと考えていたところでELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーに出会いました。

【画像2】ソニー担当者より届けられた湛水センサーとともに

センサー精度の信頼性向上で、水管理の判断がしやすくなり、効率化につながる

管理している田んぼは5拠点ありすべて回ると2時間くらい掛かります。
面積で伝えると大体7ヘクタールです。(サッカーフィールド 10面分、東京ドーム1.5個分相当)
田んぼを毎日回り、水位や水温、土壌の状態などをチェックしていましたが、拠点から離れた場所にある田んぼに行くのは大変で時間も掛かっていました。
まずは拠点から離れた場所にセンサーを設置しましたが、通知がスマートフォンへリアルタイムに届き、ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーを設置した場所から離れたところで作業をしていても田んぼの状況がわかるので安心感があります。
利用当初は、まだセンサー精度がわからなかったこともあり頻繁に自分で田んぼへ確かめに行っていましたが、1週間程で通知内容から精度の信頼性を感じ、今では目で見るよりもセンサーからの情報を信頼しています。
例えば田んぼを回ることは毎日の作業なので、おおよそ週では4~5時間程度の負荷軽減につながっています。
また、災害級の雨が降っているときは、以前は直接田んぼへ行って確認していました。
しかし、ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーを導入してからは拠点から通知を見て状況がわかるので、田んぼへ行くか行かないかといった判断がしやすくなり、これにより効率化につながっているだけでなく、安心感も得ることができました。

【画像3】湛水センサーで検知した水位はELTRESネットワーク回線を通じてスマートフォンへ通知される

データ活用で農業の課題解決と産学官連携に期待

自然栽培で米作りをしていますが、地球温暖化の影響で年々気温も変化しており、これまでは米作りの指標となるような具体的なデータが不足していました。
ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーを導入したことで、田んぼの状態がデータで収集できるようになりました。
このデータをもとに、地域の農家や研究者、行政などと情報交換を行うことで、新しい取り組みにつながると思っています。
これまで米作りは農家の経験と勘が頼りでしたが、ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーデータは客観的な指標として活用できるので、多くの農家の課題解決に貢献できると考えています。
特に無農薬での栽培は、天候や病害虫とも多様性を活かした共生が大切で、やり方しだいでは農薬を使う必要のない状態へ変わります。
ここで大切なのが水の管理なのです。
さらにセンサー情報で得られた客観的なデータを蓄積することで、これまで関わりのなかった産業の方や研究者、行政などともつながるきっかけになります。
いま世界的に求められている環境再生農業では、「センシング技術」が重要なキーワードになると思っています。
農業を継続させるために、新しい価値として先端テクノロジーを積極的に取り入れて、先人たちから受け継いだ農業の伝統を次の世代につなげていきたいと考えています。

【画像4】湛水センサーで水位を管理した結果、無農薬育成でも雑草が生えていない

ソニーの技術が未来の農業を支える

ソニーグループの熊本県内の半導体工場では、工場で使用する地下水を「使った水はきちんと戻そう」をスローガンに、水を地下に蓄える「涵養(かんよう)」といった取り組みを行っています。
私はこの取り組みを知ったことでソニーグループがサステナビリティを重視する企業であることと同時に、ソニーグループと農業が密接な関係にあると感じるようになりました。
農業は水資源の利用が欠かせない産業です。
ソニーグループが培ってきたセンサー技術や通信技術を農業、米作りに応用することで、水資源の利用を効率化したり、気候変動への対策を強化したりすることができると考えています。
ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーをきっかけに今後も先端技術を農業に取り入れて持続可能性を高め、より豊かな食料を安定的に供給できる社会の実現に貢献していきたいです。

ソニーのコメント

ELTRESネットワーク回線を活用した湛水センサーを採用した實取様のインタビューから

  • 離れた場所にある田んぼの様子を見なくてもよく、作業時間が短縮した
  • 災害時でもリアルタイムで水位が通知されるので安心感があった
  • 取得したデータを蓄積することで、次世代の農業従事者へナレッジの共有に役立てそう

などのお声を頂きました。
今回の湛水センサーはELTRESの低消費電力により数年間電池駆動ができ、安定した通信網により他の機械を介さずに直接インターネットに接続が可能です。水田に設置すればすぐに水田の水位の監視を開始できます。シンプルなセンサーの採用により安価なご提供価格の設定も魅力です。こちらの湛水センサーは、ELTRESパートナー企業であるBraveridge社より提供となります。

最後に

ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。

【活用例】
・物流:移動車輛の監視
・環境モニタリング:溜池の水位監視
・インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
・農業・畜産:放牧牛のトラッキング
・人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
・スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
・IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等

「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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