兵庫県 ため池の水位を迅速に把握

NECネッツエスアイ株式会社

遠隔監視で二次災害を防ぐ

課題と背景 ~IoTへの取り組み・検討に至った理由~

兵庫県は全国に約17万箇所あるため池の約15%にあたる約2万4千箇所のため池を有する、日本で最も多くのため池がある県です。
これまで、ため池は雨が少なく川も少ない地域で農業用水を確保する為に作られてきましたが、近年記録的な豪雨が頻発するようになり、全国的に豪雨によるため池の損壊等が発生しています。一方で、ため池管理者の高齢化や農家の減少等により、豪雨時にため池管理者がため池の水位を把握できず、水位上昇によりため池決壊のおそれが生じていても市町が周辺住民に避難勧告等を発令することが困難な状況となっています。このため、主として決壊すると人的被害を及ぼすため池において豪雨時にため池の水位を計測し、関係者が水位を把握できる観測システムの設置が求められています。
これまでも携帯電話網を使って水位計で計測したデータを伝送するシステムはありましたが、山間部にあるため池では太陽光パネルやバッテリーと組合せて電源を確保する事から多くの機器が必要となり設置・更新費用が高額となること、また、場所によっては携帯電話での通信が困難で計測データを伝送出来ないこと等がネックとなり、ため池水位の計測システムの設置は進んでいませんでした。
そのようななか、兵庫県は低コストで山間部でも設置・運用可能な水位観測システムの仕様検討のため、2019年6月から11月まで明石市にあるため池に様々な水位監視システムを設置し、ため池の水位を遠隔から確認する実証実験を行っており、当社はELTRESにより水位データを伝送する観測システムで兵庫県の実証実験に参加しています。

ELTRESを選ぶ理由

これまでも携帯電話網を使って水位計で計測したデータを伝送するシステムなどはありますが、山間部にあるため池では電源を準備するのが困難なため、ソーラーやバッテリーと組合せて電源を確保する事から機器構成が多くなり、設置には基礎工事が必要で手間がかかるものでした。また場所によっては携帯電話が通じ難い場所もあり、広く展開が進められていませんでした。
ELTRESは低消費電力で通信できることから、ソーラーパネルを必要とせず、小さなバッテリーで5年程度水位を計測・送信する事が可能で、機器構成と設置工事も簡易に済むことから展開しやすいと考えています。
また、100km以上の長距離で通信可能な為、携帯電話の通じ難い場所などでも使用できるのではないかと期待しています。

実証実験の結果

兵庫県では2019年6月から11月まで、明石市にあるため池にELTRESによる水位監視システムを設置し、水位を遠隔監視する実証を行っています。
まだ実証の途中ではありますが、ため池の水位がパソコンやスマホから確認が出来るシステムはユーザにとっても便利だと感じています。また、気象庁の降雨データとため池水位を同時に確認もできるので、ため池が決壊しないよう事前の対策を行いやすくなると考えています。

今後の展開について

決壊すると被害が発生する恐れのある全てのため池に対して、早期に遠隔で状況監視できるシステムを導入していきたいと考えています。
また、今後は防災情報システムと連携により、ため池が危険水位に達した際に迅速に下流住民が避難行えるための対策や、ため池の水位予測により危険な状態になる前に水位を低下させるなどの対応が出来るよう検討を進める予定です。

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