IoT技術を利用した災害(防災)対策の可能性・実例について

IoT技術を利用した災害(防災)対策の可能性・実例について

災害対策も日々進化し、近年ではIoT技術も取り入れられ始めています。今までは人の目で情報を確認し、災害対策本部にて紙上で把握、意思決定をしていたため、住民に情報が届くまで時間がかかっていました。 

IoT技術は、今までの災害対策の問題へアプローチし、時間や費用のロスを抑えることができる画期的なシステムです。この記事では、IoT技術を利用した災害対策の可能性や、実例について紹介します。

IoTとは?

IoT(Internet of Things)とは、冷蔵庫や電子レンジ、車など、さまざまなものをインターネットに接続する技術で「モノのインターネット」とも呼ばれます。 

今までは、インターネットと言えばコンピューター同士の接続が一般的でした。しかし、現在では施術の進歩に伴い、スマートフォンやスマートスピーカーなどにより、多方面でインターネット技術が利用されています。

※IoTについての詳細は、こちらをご覧ください。
IoTのメリット、デメリット、活用方法を解説

災害対策における課題

自治体による災害対策は日頃から行われていますが、近年は予測を遙かに超える災害が度々起こっています。

2021年7月の伊豆山土砂災害では、48時間で321mmという観測史上最多の雨量を計測、小規模なものを含めると10回以上の土石流が発生し、甚大な被害となりました。

土石流は逢初川から海へ向かって約1kmに渡って流れ出たと見られています。

また、2022年3月の福島県沖地震では、宮城県と福島県で最大震度6弱を観測し、3人が死亡・245人がケガをし、2万件以上の家屋に被害がでました。

営業中に地震に見舞われた東北新幹線は脱線事故を起こし、復旧までに2カ月近くを要しました。

このような事態が発生するたびに、現状の災害対策に対する課題が浮き彫りになっています。

1.住民への安全対策

現在は、自治体職員が目で確かめた情報を災害対策本部でまとめ、それから住民に発信されるため時間的なロスが生じます。

住民も情報がないと判断に困り、自治体から避難指示が出されたときには避難できない状況になる可能性も否定できません。

IoTを導入すると、情報は時間差がほとんどなく災害対策本部に発信されるため、判断も素早く行えます。

また、住民もいち早く情報を把握できるため、自治体から指示を待たずに避難することも可能です。

2.自治体職員の状況確認によるリスクや情報伝達の時間、手間の削減 

災害発生時に自治体職員が現地に赴き、被害状況を確認する現在の方法は、職員が現場確認による大きな危険なリスクをともなうことになり、時間と手間もかかってしまいます。

IoTを導入する目的の一つは、このリスクや手間、タイムロスの削減です。

IoTモニタリングシステムは、リアルタイムで災害が発生しやすい箇所を監視しているため、職員が身を危険に晒して状況を確かめる必要がなくなります。

そして、状況は即座に対策本部に届くので、本部は短時間で状況を把握、情報発信が可能になります。

IoTを駆使した災害対策の可能性について

災害対策としてIoTを導入することにより、今まで課題とされてきた初期対応の遅れ、正確な情報の把握や住民への迅速な連絡の改善が期待されます。 

IoTモニタリングシステムによる災害状況の把握と発信

今まで職員が現場に赴いて目で見ていた災害状況を、IoTモニタリングシステムを利用することにより迅速、安全に確認できます。 

情報共有もアプリケーションにより自動的に行うことができるため、今までよりも大幅な時間短縮が可能です。 

災害状況を迅速に把握できることにより、正しい対策を導き出す時間も短縮され、二次災害や水難事故の防止にも役立ちます。 

正しい情報を迅速に共有可能

IoTモニタリングシステムのデータはクラウド上に保存、プラットフォームで情報が分析されます。 

それにより、避難者の有無や救援物資の在庫状況や必要な量を、手動で行うより遙かに短時間で把握できます。 また、情報はインターネットを通じて共有可能です。 

スムーズな情報発信

IoTで取得、分析した情報は、正しい形で住民に伝える必要があります。自治体からの情報は、住民が避難するタイミングを決める判断材料になるためです。

さらに、災害発生時はSNS等でデマも出回りますが、自治体の正しい情報を素早く住民が理解できれば、それらに惑わされる可能性も減ります。

IoT技術を利用した災害対策事例

IoT技術を利用した災害対策の中から、3つの事例を紹介します。 

香川県高松市 : 防災分野におけるIoTの活用

香川県高松市では、2018年2月から防災・観光分野においてIoTを活用しています。 

防災分野においては、IoTを活用した河川や海岸部の水位・潮位の情報や避難所の通電情報など把握・分析などをして、早期の災害対策に活用する取り組みを開始。

香川県との防災情報とも連携して、災害対応に利用しています。

熊本県人吉市 : G空間情報技術を活用した地域防災システム

熊本県人吉市では、G空間防災システムを活用し、災害時の業務効率化を図っています。 

G空間防災システムとは、地震や津波などの広域災害や大規模災害に対してG空間(地理空間)とICTを連携して構築した画期的な防災システムです。

また、災害対策本部の意思決定や判断の迅速化にも、G空間防災システムの効果が期待されています。

神奈川県逗子市 : 土砂災害の予測検知を検証

神奈川県逗子市では、土中水分量の変化と傾きのデータを取得し、土砂災害の予知ができるか検証しています。 

ここで活用されているのが、加速度センサーと土中水分センサーを搭載したIoT防災デバイスです。このデバイスにより、離れた場所にいながら、山の斜面の水分量や傾きを確認できます。

また、あらかじめ設定した数値を超えたときには、プッシュ通知機能もあるため、異常をいち早く察知可能です。 

IoTが今後の防災に期待される理由

IoTは、今後の防災において大きな期待が寄せられています。 

  • 災害発生時の状況把握と情報発信の高速化
  • 職員の安全確保・二次災害の防止

これらについて、詳しく見ていきましょう。 

災害発生時の状況把握と情報発信の高速化

IoTモニタリングシステムにより、今まで自治体職員が目で確かめていた災害状況がすぐにデータと映像で届きます。 

また、事前に設定することにより、届いた情報をWebなどで自動的に共有することも可能です。災害発生時には正確な情報をいち早く知り、避難が必要な場合は素早く行動を起こすことが大切です。

IoTを導入すると、自治体職員が状況を確認するよりも遙かに早いスピードで把握、情報共有ができます。 

職員の安全確保・二次災害の防止

災害が発生した場所に自治体職員を派遣して確認する行為は、命の危険を伴います。 

IoTは職員の代わりに状況を把握できるため、危険な場所に職員が行かなくて済み安全確保に繋がります。

また、住民が河川などを気にして見に行き、二次災害に巻き込まれる悲しい事態も、IoTで送られた情報を共有することで防止可能です。

ELTRES(エルトレス)が実現する防災対策について

Sonyが開発したELTRESは、優れたネットワーク仕様により防災効果が期待されています。

ELTRESのネットワーク仕様

通信方向上りのみの一方向通信
※GNSS時刻情報が取得できない環境下ではデータ送信不可
通信周波数923.6MHz~928.0MHz
提供方法パブリック方式
受信感度-142dBm
ペイロード128bit
データ送信間隔定期送信 : 1分〜24時間ごとに送信(トリガー送信) 
※定期送信は送信間隔を組み合わせ可能(2種類) 
 トリガー送信は送信開始から3分間画で最大60分送信 
セキュリティ機能搭載(暗号化方式)
ハンドオーバー対応

また、ELTRESはIoTモニタリングシステムにおいて非常に優れているのが特徴です。概要および特徴について、次項でご説明します。

ELTRESの概要

ELTRESとは、Sonyオリジナルの無線通信規格のことです。 

このELTRESを用いたIoTネットワークサービスが「ELTRES IoTネットワークサービス」です。ELTRES IoTネットワークサービスには以下の特徴があります。

1.安定通信

技術を組み合わせて、ノイズの多い都市部でも安定した通信を実現しています。

2.長距離伝送

さまざまな通信の緩衝を除去するアルゴリズムを持つ受信機の搭載、電波の高感度化、データ補正などにより、100km以上離れた場所でもデータ伝送が可能です。

3.低消費電力

ELTRESは、コイン型のリチウムイオン電池1つで稼働するほどの省電力設計です。そのため、災害発生時に危険が予測される場所に設置し、管理するのに向いていると言えます。 

4.高速移動体対応

ELTRESは、時間領域のデータを周波数領域に変換するアルゴリズム「フーリエ変換」で、通信路の変動の検出が可能になりました。  これにより、時速100km以上の高速移動体にも対応が可能です。 

5.GNSS標準搭載

ELTRESは、GPSによる正確な位置情報計測がしにくい都会のビル街や、山間部などでも位置情報が取得できるGNSS(Global Navigation Satellite System)を標準搭載しています。 

GNSSによる高度な通信を実現したことで、プリアンブル(データを同期する際にデータ本体の前に送られるビット列)が不要になり、送信時間の短縮にも繋がります。

これらの特長を活かし、さまざまなセンサーで得た情報を効率よく届けることができるELTRESは、災害対策において大きな効果が期待できます。

ELTRESの災害対策での活用例

ELTRESを使った災害対策例を紹介します。 

兵庫県 : ため池の水位観測

日本で最も多くのため池がある兵庫県では、ELTRESを用いた、ため池の水位監視を行いました。農業用水を確保するために作られたため池ですが、近年の集中豪雨により、ため池の水量が危険水域にまで達するようになりました。

しかし、ため池の推移を把握するのが難しく、このような状態が生じているにもかかわらず、近隣住民に避難勧告を出すのが困難な状態となっています。

そのため、通信が安定し、省電力で稼働するELTRES(エルトレス)を活用した監視システムで、水位を遠隔地からも確認できるか実験されました。

※事例詳細はこちら
兵庫県 ため池の水位を迅速に把握

キロポストで災害を「見える化」

国道沿いなどに設置されているキロポストに「水位センサー」、「温湿度計」、「加速度センサー」を搭載し、水位や気温、震度データの取得が可能になります。

キロポストにELTRESを導入することで災害を「見える化」し、非常時には即座に状況を把握、災害への対応ができます。

バッテリーは年に一度交換するだけ、表面は陶磁器なためメンテナンスが楽なのも特徴の1つです。

IoT技術は災害対策に大きな期待ができる

災害発生時は、何よりも人命を守ることが大切ですが、状況がわからないことには、それもままなりません。 

IoT技術を災害対策に取り入れることで、自治体職員の安全を確保した上での状況把握や地域住民への情報共有の高速化など、さまざまな効果が期待できます。 

ソニーネットワークコミュニケーションズでは、IoT技術を活用したシステム構築において多くのパートナー様と協業しており、お客様のご要望に合わせて最適なソリューションをご提案可能です。システムを活用した防災対策について、お悩みやご相談したことなどございましたら、お気軽にお問い合わせください。 

最後に

ELTRESは安定通信・長距離伝送・低消費電力・高速移動体対応・GNSS標準搭載の特長を生かして様々な業界でご活用いただいております。

【活用例】
・物流:移動車輛の監視
・環境モニタリング:溜池の水位監視
・インフラ監視:街路灯の電力監視と設置位置管理
・農業・畜産:放牧牛のトラッキング
・人の安全みまもり:CO2センサで「3密」を検知
・スポーツトラッキング:アドベンチャーレースでのトラッキング
・IoTプラットフォーム:温湿度、不快指数、安全管理、物流管理、獣害被害対策、見守り等

「興味がある」から「実際に活用方法を検討している」までどの段階でも構いません、お客様のご希望に合わせてお話しさせていただきます。
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